検索エンジン、広告、そして SEO

Category: MarTech, AI

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プロダクトはどんなデータを追跡すべきかで、SEO は AARRR フレームワークの最初のステップ Acquisition、つまり新規顧客を獲得する段階に含まれると書きました。この段階には、広告出稿や SNS 運用といった他のマーケティング手法も含まれます。では、SEO の何が重要なのでしょうか?この記事では、SEO が生まれた背景である検索エンジンのビジネスモデル、SEO が必要な人・不要な人、そして AI 時代にますます重要になっている AEO について取り上げます。SEO/AEO をやるべきか迷っているスタートアップや、社長に「うちのプロダクトも SEO やるぞ!」と言われてポカンとしているマーケターやエンジニアの参考になれば幸いです。

この記事はシリーズの前編です。後編は AI 時代の検索と露出です。

Acquisition には SEO が含まれる
Acquisition には SEO が含まれる

SEO と AEO

Google などの検索エンジン開発者にとって、SEO(Search Engine Optimization)は、ユーザーが本当に必要としているものを検索エンジンに表示させるためのものです。サイトやプロダクトにとっては、検索エンジンに見つけてもらい、上位に表示されれば、それだけユーザーの目に留まりやすくなります。いわば長期的な無料広告です。

ところが近年、検索エンジンにキーワードを入力して最初に目に入るのは、上位のページではなく AI がまとめた情報になりました。この機能が登場してから、検索結果のページのクリック率は大きく下がっています。これは次の戦場が「どうすれば AI に見つけてもらい、選んでもらえるか」であることを示しています。それを扱うのが AEO(Answer Engine Optimization)です。

Google の AI Overview
Google の AI Overview

検索エンジン

ソフトウェア業界と技術の進化は、多くの場合ビッグテックが主導してきました。数十年前なら IBM、Oracle、Microsoft、少し最近なら Facebook、Apple、Amazon、Google といった企業です。そして今、OpenAI や Anthropic などが LLM と AI エージェントの時代を切り開き、Google は自社のモデルを発表し、Microsoft も OpenAI に出資して Copilot で参戦しています。

初期の検索エンジンはユーザーにあまり親切ではなく、広告を出すか人による審査を通らないかぎり、ユーザーは必要なページをほとんど見つけられませんでした。Google の検索エンジンは PageRank でページ同士のリンク関係を見てランキングし、ユーザーが本当に役立つ情報にたどり着けるようにしました。その後 Google は Google AdWords(のちの Google Ads)を検索エンジンと組み合わせ、ユーザーがキーワードを入力すると同時に広告を表示する仕組みを作り、これが Google の主なビジネスモデルになりました。この成功が今の Google のソフトウェア帝国を築き、競合他社や学術機関による Information Retrieval の研究も盛んにしました。今でも Google は検索エンジンの王者で、Yahoo!、Bing、DuckDuckGo はどれもその規模に及びません(百度は独自路線なので別枠…)。SEO の話をするときも、ほぼ Google の枠組みとルールに沿うことになります。

GoogleBingYahoo!
世界シェア(2026 年 9 月)約 90%約 5%約 1.4%
検索結果の出どころ自社インデックス自社インデックス。Yahoo!、DuckDuckGo など他の検索エンジンにも提供自社クローラー Slurp と Bing のクローラー
ビジネスモデルユーザーの行動に基づく検索広告。広告が親会社 Alphabet の売上の大半を占める検索広告(Microsoft Advertising)。Microsoft にとっては Azure や Office に次ぐ副業ニュース、ファイナンス、メールなどポータルサイトの広告。検索広告は 2009 年から Microsoft と提携
AI との統合AI Overviews と AI Mode(Gemini)Copilot(OpenAI のモデル)Yahoo Scout(Anthropic の Claude)

広告・SEO が必要な人・不要な人

広告とは、特定の対象に対して大規模に情報を伝え、認知を形成し、行動を促す商業活動です。何かを売りたいなら、ほぼ必ず広告が必要になります。例外は、すでに評判が高い・有名である場合や、宣伝のいらない独占事業(電力会社など)くらいでしょう。つまり問題は「広告を出すかどうか」ではなく「どの広告を使うか」で、その答えは顧客がふだんどうやって新しいものを見つけているかで決まります。

SEO

ユーザーが自分から検索したときに、自然検索の順位で見つけてもらう方法です。コストは時間とコンテンツで、直接お金はほとんどかかりませんが、効果が出るまで時間がかかり、成果が見えるまで通常数か月かかります。

SEM(Search Engine Marketing、検索広告)

お金を払ってキーワードを買う方法で、最も一般的な形は Google Ads のような PPC(Pay-Per-Click、クリック課金型広告)です。クリックごとに課金され、出稿すればすぐに表示されますが、止めればそれで終わりです。

SNS 運用

Instagram、Threads、Facebook などでコンテンツを発信し、ファンを増やす方法です。コストはこれも時間とコンテンツで、SNS 広告を買って加速させることもできます。効果が出る速さは SEO と SEM の中間です。

タレント起用、インフルエンサー、自身の知名度

他人(または自分)が積み上げてきた信頼を借りる方法です。コストは起用料か、自分自身の長年の積み重ねで、知名度があれば効果は非常に速く出ます。ライブコマース、タイアップ広告、芸能人が自分のアパレルブランドや飲食店、インスタント麺を出すのもこれに当たります。

台湾の YouTuber、壹加壹(Lean & ILLY)は自分たちで繁体字中国語の字幕ツール What'Sub を作り、自分のチャンネルの動画 1 本で公開を告知しただけで、1 週間で 1,000 人以上が有料登録しました。彼らに SEO は必要ありません。チャンネルの視聴者そのものが顧客獲得のチャネルだからです。さらに 10 年以上動画を作ってきた彼らは業界の課題を深く理解しており、それがプロダクト成功の大きな理由になりました。

この方法は自分か誰かがすでに有名であることが前提で、それはたいてい 10 年以上かけて積み上げたものなので、誰でも真似できるわけではありません。強い個人の影響力と課題への洞察は、やみくもに SEO にお金をかけるよりも効果的なことが多いです。

SEO は必要か

判断基準:顧客は検索であなたを見つけるか?

ケースSEO は必要?理由
コンテンツサイト、ブログ、メディア非常に必要トラフィックが生命線
一般的な店舗・事業者やる価値はあるユーザーは困ったときに直接検索する。地域の店舗は Google ビジネスプロフィールも運用すべき
EC必要。通常は SEM と併用商品ページが検索で見つかる必要がある。人気キーワードの競争が激しいときは広告で補う
まったく新しいカテゴリの製品効果は限定的ユーザーは何を検索すればいいかすら知らないので、まず SNS やインフルエンサーで市場を啓蒙する必要がある
スタートアップ段階によるPMF を探している段階ではプロダクトの方向性がいつ変わるかわからず、SEO は効果が出るまで数か月かかる。まずは SEM や SNS、ユーザーへの直接ヒアリングで需要を検証するほうがいい。検索されることが確認でき、プロダクトも安定してから、SEO は割に合う長期投資になる
すでに有名なブランドやクリエイター特に力を入れなくてよいブランド名そのものがキーワードで、自然に 1 位に表示される
B2B のエンタープライズソフトウェア一部必要意思決定者はネットで比較検討するが、成約は主に営業、展示会、口コミによる
ログインしないと見られない SaaS の管理画面やアプリ内ページ不要そもそも検索エンジンがクロールできない
短期のキャンペーンやポップアップ間に合わないSEO は効果が出るまで数か月かかるので、SEM や SNS のほうが現実的

SEO では何をするのか

リンクを増やす

外部サイトからリンクしてもらう、自分のサイト内のページ同士をリンクする、サイトマップを送信する。

キーワード調査

サイトやプロダクトのポジショニングから、ユーザーがどんなキーワードを使うかを考えます。ツールで市場を分析することもできます。

検索ボリューム、競合度、検索意図(info、nav、trans、CI)といった指標に注目しましょう。スタートアップや小さなサイトは、ロングテールキーワード(例:フロントエンドのパフォーマンス最適化 実践チュートリアル)から攻めると、大手サイトに勝ちやすくなります。

クローラーにサイトを正しく理解してもらう

  • ページのメタデータ(title、meta)をきちんと書く
  • 正しい HTML タグ(h1、h2、h3、nav、header、footer…)を使う
  • JSON-LD を書く
  • robots.txt を設定し、検索されたいページをブロックしない
  • 重複コンテンツが多い場合は canonical タグを設定する
  • サイトが CSR の場合、Google のクローラーはまだ完全なコンテンツを確実に取得できません。ブログやニュースサイトなど純粋なコンテンツサイトなら、他のレンダリング方式を検討しましょう

サイトのパフォーマンスと Core Web Vitals

サイトのパフォーマンスが悪いと、SEO の順位にも影響します。Core Web Vitals はサイトのパフォーマンスを評価する 3 つの指標です。

  • Largest Contentful Paint(LCP):読み込み速度を測る
  • First Input Delay(FID):ページのインタラクティブ性を測る
  • Cumulative Layout Shift(CLS):視覚的な安定性を測る

PageSpeed Insights で自分のサイトのパフォーマンスを確認し、改善点を見つけられます。

コンテンツの質を保ち、ユーザーの課題を解決する

  • E-E-A-T の原則
  • 順位のために記事を書いたり、不自然なキーワードを詰め込んだりしない
  • AI で大量の低品質コンテンツを量産しない
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AI でサイトの技術的な問題を改善する

Reference