プロダクトはどんなデータを追跡すべきか
Category: MarTech
もしあなたが経営者で、手元にひとつのソフトウェアがあるとしたら、ユーザーのどんな行動が気になりますか?どのページがどう使われているかも気になるはずです。
先に進む前に、次の例について考えてみてください。
- EC サイト
- フードデリバリー
- 動画・音楽ストリーミング
- オンライン旅行・チケット予約
データを追跡すべきなのは誰か
手元のソフトウェアが練習用のプロジェクトや、ちょっとした発信用のブログ、機能がシンプルな小さなツールなら、利用者数以外に複雑なデータを追跡する必要はあまりないでしょう。
プロダクトの改善、フローの最適化、コスト管理、顧客層の拡大のために、次のような特徴があるプロダクトでは、ユーザーの行動データを追跡・分析する必要が出てきます。
- 成長・拡大のニーズ(あるいはプレッシャー)がある
- ある程度の規模があり、コア機能が安定していて、ユーザーも多い
- ユーザーのフィードバックを人手で集めるのが現実的でなく、自動化に頼っている
- 広告を出していて、その効果を分析・定量化したい
ツールの選び方
トラフィック・行動分析
- Google Analytics 4(GA4)
- Meta Pixel
- Mixpanel / Amplitude
タグ管理
GA や Meta Pixel のコードをプロジェクトに直接書き込んでしまうと、マーケティング側が計測ツールを変えたくなるたびに、エンジニアがコードを修正し、ビルドして、デプロイし直すことになります。
Google Tag Manager を使えば、サイトにコードを一度入れるだけで済みます。そのあと GA や Meta Pixel、その他の計測タグを追加したいときは、GTM の管理画面からビジュアルに設定できます。
カスタマーデータプラットフォーム
会社の規模が大きくなると、マーケティングは LINE を配信したり GA を見たり、カスタマーサポートは対応履歴を見たりと、データがあちこちのシステムに散らばっていきます。ここで必要になるのが Customer Data Platform です。
CDP でできること
- データ収集:サイト上の行動、バックエンドのデータ、外部ツールとのやり取り
- ID 解決:同じユーザーを識別する
- 配信:データをカスタマーサポート、マーケティング、GA などの分析ツールに送る
フロントエンドのテストって実際どうやるのでも触れたように、データ計測は「とりあえず取っておく」ために使い道のない情報を大量に集めることではありません。問われているのは、PM やデータアナリストがどれだけプロダクトを理解しているかです。ビジネスロジックやプロダクトの利用フローから出発してはじめて、マーケティングの目標と戦略が決まり、計測の設計やどの行動を追跡すべきかが見えてきます。
AARRR
AARRR は Dave McClure が 2007 年に提唱したフレームワークです。ユーザーがプロダクトを知ってから収益を生むまでの過程を「ファネル」の形で 5 つの段階に分け、それぞれの段階に追跡すべきデータが対応しています。

| 段階 | 答えたい問い | よく使う指標 | エンジニアリング |
|---|---|---|---|
| Acquisition 獲得 | ユーザーはどこから来たか | 流入元、チャネル別の顧客獲得コスト(CAC)、広告のクリック率 | SEO / SEM |
| Activation 活性化 | 初回利用で価値を感じたか | 登録完了率、オンボーディング完了率、コアアクションを初めて完了したユーザーの割合 | ランディングページの設計と A/B テスト、チュートリアル、登録フロー |
| Retention 継続 | また戻ってくるか | 翌日/7 日/30 日継続率、DAU / MAU | ライフサイクル/ステータス/イベントベースのメール、Web Push 通知、オフラインキャッシュ |
| Revenue 収益 | お金を払ったか | 有料転換率、平均注文単価(AOV)、ユーザーあたり平均収益(ARPU)、顧客生涯価値(LTV) | 決済連携、購入フローの最適化、料金・プランページ |
| Referral 紹介 | 他の人に勧めるか | シェア数、招待コードの利用数、バイラル係数(K-factor) | シェア機能(Web Share API、OG タグ)、招待コードと紹介特典の仕組み、ディープリンク |
5 つの段階を EC サイトに当てはめると、計測すべきイベントが洗い出せます。
| 段階 | 追跡する行動 | イベント例 |
|---|---|---|
| 獲得 | どの広告・どの検索キーワードから来たか | UTM パラメータ、page_view |
| 活性化 | 会員登録、初めて商品をカートに入れる | sign_up、add_to_cart |
| 継続 | しばらくして再訪する、再購入する | 再訪率、リピート率 |
| 収益 | 購入フローの各ステップでの離脱 | begin_checkout、purchase |
| 紹介 | 商品をシェアする、招待コードを使う | share |
いちばん漏れている段階を見つける
5 つの段階はファネルのようなもので、下の段階に進むたびにユーザーが一部離脱していきます。離脱がいちばん多い段階から優先的に手を打ちましょう。
一般的には、まず Activation と Retention を固めてから Acquisition にお金をかけます。ユーザーを引き留められないプロダクトにいくら広告を出しても、穴の空いたバケツに水を注ぐようなものです。